免疫細胞検査室
今までの生理検査と違って、全く新しい分野の仕事だった。学校でも習っていない。
その頃、急速に免疫学が進歩した時代で、白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など血液の悪性腫瘍のための検査室だった、というか研究室と言ってもよいくらい特殊な検査を行った。
京都大学の第2内科で行われている検査と同じレベルでやるという目標のもとにやっていたから、最初は本を読んでも頭に入らず、直ぐに眠ってしまうという有様で、ストレスで食べるのも疲れ、直ぐに疲れてしまっていた。
しかし、狭い部屋であまり動かなくてよく、マイペースで働くことが出来たから、今思うと何とか働けたのだと思う。段々仕事は上手くいき、自分に合っていると思えるようになった。特に染色体の検査は自分に合っていた。
顕微鏡を覗くことが多く、最初は酔っていたが、次第にその世界に引き込まれていった。
ただ3月になるといつも仕事が多すぎると言いだし(つまり仕事がはかどらなくなる)、電話の受け答えもままならない時があった。簡単な要件だといいが、少しでも複雑になると記憶できないのだ。何故だかわからない自分が怖かった。
T-cell、B-cell、CD4、CD8、などの分類、染色体の分析などは京大と同じレベルに出来たが、DNAの抽出になってくると段々手に負えなくなっていった。