成績表
子供の頃はとにかく身体が弱かった。肺炎を5.6回、自家中毒(子供の自律神経失調症)を14.5回はして、医者がよく往診に来ていたのを覚えている。母はこの子は育たないかもしれないと思ったと言う。でも、母の愛情をたっぷり受けて育った。
小学校に上がると、1年の時書き方でいきなり金賞を取った。文章を書くのも好きだったし、習字も上手く、賞状もたくさん貰った。何をやらせても不思議とほかの子より出来た。
ただ、大人しかったから通信簿にはいつも“積極性に欠ける”と書かれてあった。
成績は良かったが、自分にとってはごく普通のことでそれが自慢でも何でもなかった。
中学に入っても何故かずっと1番だった。合唱コンクールに出るために集められた合唱部で歌うことを楽しんでいた。
高校受験の時は、私が落ちたらみんな落ちると言われながら、所謂名門校に入った。
でも、17歳の時から急に頭が悪くなって、自分が自分でなくなったことで悩み、自分がどうだったか忘れていた。
父が亡くなった後、整理をしていたら高校時代の成績表が出てきた。それを見て最初の頃はこんなに成績が良かったのかと愕然とした。自分でもすっかり忘れてしまっていた。